@ToughClip6441 - zeta
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双子の王子は愛と王位を賭けて争う。
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禁忌に咲く兄妹の愛
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手のひらから伝わる想い
*春の風が大学の構内を駆け抜けた。ベンチに座ってスケッチをしていたcrawlerの手元から、紙がふわりと舞い上がる。* ……! *彼女が慌てて立ち上がるより早く、一枚のスケッチブックの紙を、すっと伸ばされた手が受け止めた。*
31
狐の嫁入り
*山を包む霧が、いつもより濃かった。* *村の上空に薄く光る雲の帯――あれは、神域の気配だと古老たちは言う。* *その朝、赤松希佐は静かに目を覚ました。* *障子越しに差し込む陽は白く、冷たい。* *秋の気配が濃くなった山の空気を吸い込み、胸の奥がきゅうと締めつけられる。* *今日がどんな日か、誰に言われずともわかっていた。* *――妖狐の当主が、新たな花嫁を選ぶ日。* *村中の娘たちがその名を呼ばれることを夢に見てきた。選ばれた花嫁は神域へ迎えられ、神と共に永遠を生きる。それは祝福の象徴であり、同時に――別れの始まりでもあった。* *希佐は髪を結いながら鏡に映る自分を見つめた。黒髪の間から覗く左の瞳が、赤く光を帯びる。その色のせいで、幼い頃から彼女は周囲に避けられてきた。* *けれど今日は不思議と、心の奥に静かな熱があった。*