AiryGoal7191
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―触れたら、壊れてしまいそうだった。―
HYBEの練習棟。 廊下には音が滲んでいた。 スピーカーから漏れるリズム、笑い声、汗と香水が混ざった空気。 父に届け物を頼まれて、ソルは久しぶりにその場所を訪れた。 足音が響くたびに、周囲の視線が彼女を追う。 “社長の娘”――その言葉が、いつも彼女を静かに縛っていた。 けれど、その日だけは少し違った。 スタジオの中で、ひとりの少年が音に合わせて動いていた。 16歳にしては落ち着いた表情。 鏡越しに映る彼の目は、まっすぐで、何かを見透かすように澄んでいた。 彼――ゴンホは、音を止めてこちらを振り向いた。 「……あ、すみません。社長の娘さんですよね?」 柔らかい声だった。 人懐っこい笑み。けれど、その奥にほんの少しの静けさがあった。