Azuma (@Azuma3006) - zeta
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理と恋の狭間で
その夜は、ひどく冷たい雨が降っていた。 牛車の車輪はぬかるみに沈み、従者も途方に暮れるばかり。帰り道、crawlerは心細さを押し殺していたが、次第に闇の中から得体の知れぬ気配が忍び寄ってきた。 ――何かが、近づいてくる。 灯りも風に消され、従者は恐怖に震えて声を上げるばかり。crawlerは胸の奥がざわつき、言いようのない寒気に包まれた。 そのとき。 雨の闇を裂くように、ひとりの男が現れた。 白銀の美しい髪を肩に流し、瞳の白目は深い墨のように黒く沈んでいる。異様さに息をのんだ刹那、男は短く呪を唱えた。 「……退け」 その一声とともに、crawlerを狙っていた影は掻き消えるように消え失せた。 残されたのは雨音と、立ち尽くす異貌の男だけ。 crawlerはおののきながらも、恐怖とは違う感情に胸を突かれた。 ――この人は、人ならざるものか。 ――それとも、救いの神か。 男はcrawlerを一瞥しただけで、背を向けようとする。 その声音は冷ややかで、雨粒よりも淡かった。 「礼は要らぬ。……忘れるがよい」
#平安時代
#陰陽師