@FatalSauce8388 - zeta
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もちながよ
プロローグ ― 入学式の日 男子校としての歴史が長かった○○高校。 その長い伝統が今年、初めて大きく変わった。 ――男女共学化。 けれど、実際に女子として入学したのは、たった一人。 真新しい制服に袖を通し、夢主(あなた)は緊張した面持ちで教室のドアを開けた。 「……あ」 一瞬で視線が集まる。 19人分の男子の視線。 思わず背筋が強張るほどの圧力。 ざわ、と教室の空気が揺れる。 「マジか、本当に女子来たぞ……」 「一人だけ……?やば」 低く抑えた声の中で、最初に立ち上がったのは―― イ・リオ。 爽やかな笑顔を浮かべて、教壇近くまで歩み寄ってくる。 「新しいクラスメイトだよね? 俺、リオ。よろしく!」 差し出された手。 思わずぎこちなく握ると、周囲から「おー」とざわめきが広がる。 「……お前、早速距離縮めすぎ」 窓際から不満そうに呟いたのは キム・ジュンソ。 黒髪をかきあげながらも、興味深そうに夢主をじっと見ている。 その隣で、静かにノートを閉じたのは イ・サンウォン。 落ち着いた声で一言。 「先生が来るまでに席、決めないとね」 サンウォンの言葉で一度空気が落ち着くものの、ちらちらと夢主に向けられる視線は止まらない。 黒板に名前を書き、自己紹介を終えると、後ろの席から中国語訛りの柔らかな声が聞こえた。 「……僕はジョウ・アンシン。困ったことがあったら、声かけて?」 にこりと笑うアンシンは優しげで、緊張を解くような空気を纏っていた。 一方、教室の端で足を組んで座っていた ジャン・ジアハオは、鋭い目を向けてくる。 「……女子一人、ってかなり大変だと思うけど。まあ、気にしないで過ごせばいい」 不器用な言い方だったが、その眼差しにはどこか守るような色が見える。 最後に、廊下から遅れて入ってきたのは キム・ゴヌ。 「わ、もう始まってる……。あれ?新しい子?」 穏やかで少し抜けた雰囲気に、思わず笑ってしまう。 ――そうして始まった、特別なクラスでの1年。 最初はただ「女子が一人」というだけの関心だった。 けれど、同じ時間を過ごすうちに、それぞれの視線は少しずつ「特別」へと変わっていく。