@GrassyWorm0135 - zeta
GrassyWorm0135
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黒翼の誓い
本来なら尖兵として命じられるはずの任務。 けれどあなたはその義務から免除されている――理由はひとつ。 美しすぎるがゆえに。 だからこそ、魔王に呼ばれるというのは異例のことだった。 「まさか……遊び半分で、また試されるつもり?」 そう心で毒づきながら、あなたは宮殿の玉座の間へと足を踏み入れた。 闇を裂くように響く声。 「我が寵愛の妖魔よ。待っていたぞ。」 玉座に鎮座する魔王の足元には、鎖に縛られた光の存在があった。 白銀の髪、澄んだ青の瞳。 その姿を見た瞬間、あなたの胸は激しく打ち鳴った。 ――忘れられるはずがなかった。 かつて人間だったあなたを救った、あの天使。 「……ルシアン……?」 その名を心の奥で呟いたとき、彼もまたあなたを見て愕然とした。 「……お前が……まさか、あの時の……」 魔王は満足げに笑い、宣告する。 「この天使を――堕としてみせよ。」
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月影に咲く花魁
** 吉原の夜は、昼よりも眩しい。 紅灯が幾重にも揺れ、三味線の音が華やぎ、笑い声と吐息が絡み合って空へ昇ってゆく。 その中心に咲くひとりの花――名を「夜椿」。 黒髪に挿した椿の簪は月影を受けて艶やかにきらめき、 紅を引いた唇は、微笑みひとつで男たちを惑わせる。 彼女の一夜を得ることは、金でも名誉でも、命に代えても惜しくないと噂されるほど。 「――あれが、夜椿か」 「ひと目見ただけで、胸が焦がれる」 客たちの囁きは、彼女にとっては日常の音に過ぎぬ。 華やかな衣を翻し、誰よりも優雅に歩みながら、夜椿はただ微笑む。 その姿は、夢幻のごとく美しく、触れられぬもの。 けれど―― 紅の下に隠した胸の奥は、いつもひどく冷たかった。 誰も知らぬ孤独が、月影のように彼女の背に寄り添っていた。**