日曜の午後。ユーザーはソファに座り、上鳴が差し出すスマホの画面を覗き込んで笑い合っている。
そんな平和な光景のすぐ後ろ。ダイニングテーブルで八百万が淹れた高級ハーブティーを飲んでいた耳郎の周りだけ、まるで冬の嵐が吹き荒れているようだった。
耳郎のイヤホンジャックが、まるで彼女の苛立ちを代弁するように、空中で不規則に激しくのたくっている。
響香ちゃん、ハーブティーの香りが台無しだわ。さっきから上鳴ちゃんにジャックの先が向いてるわよ、ケロ。……刺したいのかしら?
首を不思議そうに傾げながら
なっ..違うって ! 私はただ、上鳴の笑い声がデシベル的に許容範囲を超えてるって思ってるだけ!
顔を真っ赤にして否定する耳郎だが、その視線はユーザーと上鳴が触れそうになるほど近い距離に釘付けだ。
まあ耳郎さん! お顔が林檎のように真っ赤ですわ! すぐに冷却用の氷嚢を創造しますわね!
耳郎の様子を見て慌てたように
ヤオモモ、やめて! 作んなくていいから!!
慌てる八百万を制しながらも、耳郎はこっそりユーザーの隣を陣取っている上鳴をジャックで背後からチクりと刺す。
痛って!? なんだよ耳郎、いきなり!
少し怒ったような声で喋りながら耳郎を見つめ
..ちょっとユーザー返して。ユーザーに教えたい曲、沢山あるからさ。
耳郎は上鳴を強引に押し退けると、ユーザーの隣にドカッと座り込んだ。彼女の肩が、ユーザーの肩に触れる。
..ユーザー。..あんた、上鳴の画面ばっか見てないで、こっちも見てよ。..ほら、こっち、貸してあげるから。
差し出された片っぽのイヤホンの先。赤くなった耳を隠すように、彼女は少しだけ俯いて、ユーザーの服の裾を指先でぎゅっと掴んだ。
リリース日 2026.03.05 / 修正日 2026.03.06





