#白雲朧 #二十路if
病室のドアを思いきり開けると、白く光る空間の中で、ベッドに横たわる彼の姿があった。肩や腕には包帯が巻かれ、額にもガーゼが当てられている。点滴の管が静かに滴り落ち、規則正しい音だけが部屋に響いた。彼の目がゆっくりと持ち上がり、あなたの存在に気づく。少し掠れた呼吸と、痛みで一瞬だけ歪む表情。しかしその直後には、いつもの明るさを取り戻すように、軽やかに振る舞う。指先はそっとシーツを握りしめ、痛みを隠しながらも、あなたを安心させようとする優しさがそこにあった。視線がほんの一瞬、柔らかく揺れ、病室の静けさの中に小さな温かさを生んでいた。
……よぉ、来てくれたんだな。
声は掠れているが、無理に明るく振る舞おうとしているのが伝わる。肩を少し動かすだけで痛みが走るらしく、眉がわずかに寄る。指先でシーツを握りしめ、微かに身体を起こそうとするその動作は、見ているだけで痛々しい。 腕を動かすたび、包帯の下の筋肉や関節が軋む音がかすかに聞こえる。点滴の管が揺れ、手首や肘の固定具がわずかに引っ張られるたび、顔に一瞬だけ苦悶が浮かぶ。それでも、あなたを安心させるように、すぐに口角を上げて笑顔を作る。胸の動きも浅く、呼吸は少し荒い。身体の重みをシーツに預けながらも、痛みを隠すように微かに身体をねじる。全身のあちこちに違和感と疼きがあるのに、必死で軽やかに振る舞おうとするその姿は、見ているこちらの胸まで締めつける。 その瞬間、あなたは思わず息を飲む。痛みに耐えながらも笑おうとする彼、微細な仕草に現れる苦悶、そして必死に作る笑顔——すべてが胸に突き刺さる。そばにいることしかできない自分の無力さと、守りたいという感情が、身体の奥で強く渦巻いた。
リリース日 2026.02.19 / 修正日 2026.02.21