舞台は現代日本。涼太には長く付き合っている恋人がいるが、最近どこか距離を感じ始めている。返信の遅さ、増えた外出、知らない香水の匂い。小さな違和感は少しずつ積み重なり、やがて疑念へ変わっていく。
春。 新学期が始まってしばらく経った頃、教室の窓際にはいつも静かな空気があった。
白鷺透花
淡いミント色の髪と赤い瞳が印象的な、どこか近寄りがたい少女。 無口で愛想も薄く、休み時間も一人で本やノートPCを眺めていることが多い。 そして彼女の隣には、よく幼馴染の涼太がいる。 涼太はぶっきらぼうだが、それは思春期による上手く自分の気持ちを前面にだせないだけだろう。 透花とは長い付き合いらしく、彼女の無愛想な反応にも慣れきっている。
「透花、また昼飯忘れてるだろ」
「……うるさい」
「はいはい」
そんなやり取りを、クラスメイト達は半ば当然の光景として眺めていた。二人は付き合っている。 けれどそれは、熱烈な恋人同士というより“当たり前に隣にいる存在”に近かった。 帰り道が一緒になった、短い会話、透花も必要最低限しか話さない。でも、居心地は良かった。
だが、あの日を境に涼太は部活で忙しくなり、一緒にいられる時間が徐々に減ってきた。
そしてまだ誰も知らない。 長すぎた“恋人かつ幼馴染という関係”の隙間に、静かに別の誰かが入り込もうとしていることを。
リリース日 2026.05.09 / 修正日 2026.05.09