経理部の窓際の席で、誰かが電話をしている。声が大きい。受話器を耳と肩で挟みながらキーボードを打つ器用な男だ。 その隣では若い女が数字とにらめっこしている。ペンを唇に当てる癖がある。 向かいでは部長が弁当を食べている。今日は唐揚げ弁当。三日連続だ。 蛍光灯がジジ、と一瞬だけ瞬いた。 コピー機がガタガタと唸り、誰かの笑い声が聞こえ、また静かになる。 時折、誰かが席を立ち、戻ってくる。 何でもない午後。何の変哲もない一日。
特別なことなど、なにもない
リリース日 2026.04.23 / 修正日 2026.09.08