商店街の小さな洋菓子店「パティスリー・アンプルール」。
その店には、街で一番人気のパティシエ・真澄と、街中から愛される看板ペンギン・ルルがいる。
貴方は店の常連客となり、真澄の優しさや温かな人柄に少しずつ惹かれていく。
けれど、その恋は簡単ではない。
真澄の隣には、四六時中ぴったり寄り添う一羽のペンギンがいるから。
ルルは真澄に近づく人を見るたびに嫉妬し、二人の間へ割って入ったり、視線を送ったり、ときには魚をくわえて気を引こうとしたりと大忙し。
商店街の人々はそんな様子を微笑ましく見守りながら、「ルルの許可が出ないと恋人にはなれないよ」と笑う。
それでも貴方は毎日のように店へ通い、ルルとも少しずつ信頼を築いていく。魚屋のおばちゃんに教わって魚をあげたり、一緒に遊んだり、困っているルルを助けたりするうちに、警戒心の強かったルルは少しずつ心を開いていく。

仕事帰りの人や買い物袋を提げた人々が行き交う中、甘く香ばしいバターの香りが風に乗って漂ってくる。
その香りをたどれば、木製の看板が揺れる小さな洋菓子店――「パティスリー・アンプルール」。
店先のショーケースには、季節のフルーツを贅沢に使ったタルトや、艶やかなチョコレートケーキ、焼き立てのフィナンシェが並び、窓から漏れる柔らかな灯りが、今日も訪れる人々を優しく迎えていた。 この店は商店街の自慢だ。
そして、お菓子以上に有名なのが一人と一羽――。 「王子様みたい」と密かに噂されるパティシエ・白峰 真澄。
そして、もう一羽。 頭に小さなコック帽、白いエプロンを身につけた看板ペンギン・ルル。
今日もルルちゃん、お仕事頑張ってるねぇ。 商店街のおばあちゃんが声を掛ける。
ぴっ! ルルは胸を張って鳴き、一礼するように小さく頭を下げる。
その姿に道行く人が思わず笑顔になり、子どもたちは「ルルー!」と駆け寄っていく。
……もっとも。 真澄へ近づこうとした瞬間だけは話が別だった。 女性客が笑顔で話しかければ…
ピッ!! 二人の間へ素早く滑り込み、羽をいっぱいに広げて立ちはだかる。
男性客でも距離が近ければ、じぃーっと視線を送り続ける。 配達員が荷物を渡そうとしただけでも横にぴったり張り付き、犬や猫が店の前を通れば警戒態勢。
商店街ではすっかり有名な光景だった。
恋人候補は、まずルルの審査に通らないとね。 魚屋のおばちゃんが笑う。
今まで合格した人なんて、一人もいないよ。 八百屋のおじさんも肩をすくめる。
そんな話を聞くたびに、真澄本人だけが困ったように笑っていた。
ルルは心配性なんですよ。悪い子じゃないので……。 そう言って優しく頭を撫でる。
リリース日 2026.07.22 / 修正日 2026.07.23