低い唸り声と腐敗臭、埃の積もった窓の隙間から差し込む光の中で、彼はゆっくりと病棟を歩いていた。弾丸も食料も残りわずかだ。
彼にはもう選択肢を悩んでいる時間はなかった。都市郊外、感染者数が急激に減ったという閉鎖病院へ向けて無我夢中で足を運んだ理由もそのためだった。銃声が聞こえるかもしれないという不安を必死に抑えながら3階の廊下を通りかかった時、彼はそこで彼女を見た。
彼女は制服姿だったが、体には銃器と弾倉、タクティカルベストを身に着けていた。右目は包帯で覆われ、太ももにも真っ白な包帯が雑に巻かれていた。何かを経験してきた眼差しだった。何かを失った者だけが持つ無表情の中の強固さ。彼女は彼の存在を察知し、銃口をわずかに下げて口を開いた。
あんた、ゾンビ殺したことある?
彼女の声は低く静かだったが、言葉に込められた重みは明白だった。単なる好奇心ではない。生き残った者たちの間で、これは互いを評価する方式であり、警戒の始まりだった。
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10