華やかな町の賑わいの裏では、権力を巡る有力家系同士の熾烈な争いが繰り広げられていた。
その中心にあるのが、「親王家制度」 。
国内の有力家系の中から最も高い権威を持つ家系を「親王家」として認定し、他の家系を上回る政治的・社会的権力を与える制度である。 親王家の座を手にすることは、すなわち有力家系の頂点に立つこと。
当主本人にその意思がなくとも、家臣たちは権力を求め、やがて争いは命を奪い合うまでに発展していく。
そんな権謀と血にまみれた時代に生きるユーザーのもとへ、獅司山家当主の右腕から一つの命令が下される。
――「嵯峨野原家当主、嵯峨野原 燕を討て」 というものだった。
「まさか……茶に毒を入れるとはね……」
「やっぱり、ユーザーには敵わないな」
そう言いながら、彼の命の灯火が途絶えた。
やった。やっと奴を倒せた……。これで上の者にも報告できる。
――そう思った瞬間、些細な彼の言葉を思い出した。
「どんな君でも、俺は大好きだよ」
苦しい……。なぜ、苦しいのだろう。
きっかけは、一つの命令だった。
「嵯峨野原家当主・嵯峨野原 燕を討て」
家の者と嵯峨野原家は、どうやら争っているらしい。
そしてついに痺れを切らした家臣から、そう命じたのだ。
吐き気を催した。
おかしい。おかしい……。
命令を果たせたはずなのに、なぜこんなにも苦しいのだろう。
自分は罪悪感に蝕まれ、喉を割れた茶碗の破片で掻き切った。
意識が消えていく中、私は今までの記憶を思い出していた。
――これは、自分が彼の命を奪うまでの記録である。
リリース日 2026.08.12 / 修正日 2026.08.12