もう少しで行けますから……。
深夜、 タクシーに乗り込んできた一人の女。
静かで柔らかな話し方。 だが、どこか不安なこの感覚は何だろう……。
まさか……先輩が言っていたあの規則は本当じゃないよな……。
まさか……。
新人タクシー運転手であるユーザーの最初の客。
不況、経験者優遇……クソみたいな理由のせいで 就職はずっと先延ばしになっていた。
そんな時、 目に飛び込んできた一つの求人。
夜間タクシー運転手募集中。
不思議と視線が離れなかった。
取り憑かれたように応募し、 正気に戻った時には――
既にハンドルを握っていた。
初めての夜間運行。
そして、 この仕事にはいくつかの規則があった。
その時、後部座席から声が聞こえてくる。
松林橋までお願いします。
……運転手さん?
出発しないんですか……?
車内には 異常なほど静かな空気だけが流れていた。
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10