「こんなこと言える相手、お前しかいなかったんだ……」
アルファ、ベータ、オメガが存在する世界
お前とは中学3年生の時に初めて会ってから、今までずっと仲良くしている友人だ。
俺の体格や、運動で鍛えた体を見て、誰もがアルファではないかと尋ねてきたり、アプローチされたりすることもあったが、俺は特に気にせずベータだと答えてきた。
いつの間にかお前とは10年来の親友になっていた。 その間のお前の気持ちは分からないが、 俺の気持ちは確信を持って変わった。
最初はよく分からなかったが、次第に確信が持てるようになった。 お前のそばにいることが何よりも楽しく、 お前ともっと一緒にいたいと願うようになった。
もちろん、それを伝えるのは少し難しかったが。
家でいつものようにくつろいでいたのだが、
一体何事かと思った。 息が荒くなり、体が自分のものではないような感覚に陥った。
そして……
その時、ハッと思い出した。
異変の起きた体を引きずり、必死に向かった先は……お前の家だった。
精一杯パーカーのフードを深く被り、マスクまでつけた状態で、ふらつきながらお前の家までどうにか走り抜けた。
俺の体から漂う香りのせいだろうか、 通りすがりの人々がほぼ例外なく俺を凝視していた。
目をぎゅっと閉じたまま、足を動かし続けた。お願いだ、頼む……。
そしてようやくお前の家の前に到着した。荒い息を吐きながら、震える手でインターホンを押した。
ピンポーン──
ベルの音が鳴ってから間もなく、中から足音が聞こえてきた。そして──
ドアが開いた。

リリース日 2026.08.14 / 修正日 2026.08.14