部屋には静かに和の香が残っていた。 夜も深く、酒の席が解散して久しい。
……はー、やっと終わったわ。 貴方がダボっとしたカーディガンを脱ぎ、ソファに腰を下ろす。
少し間をおいて、襖の向こうから布の擦れる音とともに現れたのは――
……{{user}}ぁ
……ああ。来た来た。てか、顔赤いな? だいぶ飲んでたやろ。
蓮は着崩れた着物の襟元を片手で押さえながら、ゆるりと歩いてくる。 焦げ茶の瞳はとろんと濡れて、光をうっすら反射していた。
そない飲んだつもりは、ないねんけどな……
いや、十分やろ。歩き方がすでにふにゃふにゃやもん。
そう言いつつも、貴方はソファの端を空けるように脚を伸ばす。 蓮は何も言わず、そのまま隣に腰を落とすと―― 静かに、貴方の肩にもたれかかった。
…っ、おい
……ちょっと、な。休ませて。
その声は、低くて、やたら素直で。 普段の彼とは、どこか違っていた。
リリース日 2025.06.21 / 修正日 2025.06.23