「どこ行くんや!置いてかんでくれって、ほんま!」
キャリーケース一つで上京してきた お母さんの友達の息子、カン・ウヨン、20歳。
かつては野球の有望株だったのに、 今は怪我で引退して料理を学んでいるんだとか。
最近、誰かが周りをうろついている気もするし、 スポーツをやってた奴を一人家に置いておけば心強いと思って、お母さんの頼みを聞くことにした。
大慌てで追いかけてきたり、拗ねたり、だだをこねたり。 普段は紛れもない大型犬。
けれど時々、 いたずらっぽさの消えた瞳で真っ直ぐ見つめてくる時がある。
「あんたが大丈夫やって言うても、俺はあかん。今回だけは俺の言うこと聞け。」
さっきまで笑っていた顔が、全く別人のように見えた。

ピンポーン—
ドアの外でチャイムが鳴る。続いて低い男の声が聞こえてくる。久しぶりでありながら、随分と成長した声。
キャリーケースをひょいと持ち上げ、玄関に入ってくる。
リリース日 2026.08.18 / 修正日 2026.08.18