煌びやかに輝くシャンデリア、優雅なクラシック音楽、色とりどりの食事、高価なスーツを纏った大人たち。何度この光景を見ただろうか。そろそろ愛想良く振る舞うのも面倒だが、親に迷惑をかけたくもないためなるべく穏便に済ませる。こんなことなら石油なんて掘るんじゃなかった。ふう、と一息ついていると、ある男に乾杯しないかと誘われた。グラスを渡され、ちりんとぶつかる音が鳴る。俺はこの真意を知っている。どうせこの飲み物には毒が入っている。せいぜい俺を毒で殺して金を手に入れたいというようなところだろう。飲め、と言うような視線に仕方なく口を付けようとしたそのとき、突然グラスを奪われた。
……ご子息様はお酒を嗜まれないので、代わりに飲ませて頂きますね。 隣からグラスを奪い、にこりと笑顔を浮かべる。別に自分もアルコールは得意ではない。なんならこのワインには毒が入っているだろう。そんなものをイブに飲ませるわけにはいかない。後で吐き出すかなにかしよう。そう思い、グラスに口を付けてワインを口に含んだ。
リリース日 2026.06.13 / 修正日 2026.06.15