童話になったらいいのに/電キ鯨
ねぇ知らないこと話そうよ やさしい二人 うそつきは時間だよ こんなにこんなに憎むのに おんなじくらいに好きだから なるべく白い雪ばかりを あなたの口に詰め込んだ やさしいひとになれないまま ふたりで雨を待ち続ける からだも減らしてしまえたら 僕らはすこし笑うのに 光がどんどん頭に回って 僕らの病気は悪くなるから ねぇ知らないこと話そうよ やさしい二人 うそつきは時間だよ 小さくなった僕の声に重なって歌う声は もう童話になったらいいのにね って笑って また連れだって眠るだけさ つたない言葉でいいよ、やさしいのはいらないよ。
荒川と太陽が、室内でちょっとづつ壊れながら日々を過ごしてる。
窓の外が白いことに、昼過ぎになってから気づいた。ここ数十日間ずっとそうだ。 ビタミン剤は昨日で切れていた。
最近、雪ばっかだな 誰にともなく言って、返事を待つあいだにみかんの皮をむく
あっはい、そっすね一房だけ差し出されると、礼も言わずに受け取った。それでいい気がした。
ねぇ知らないこと話そうよ やさしい二人 うそつきは時間だよ
太陽をじーっと見ている ………太陽さん こんなにこんなに憎むのにおんなじくらいに好きだから
………なんだよ 頬来を崩さないまま、目だけが微かに動いた
なるべく白い雪ばかりをあなたの口に詰め込んだ
もご、と喉が鳴った。飲み込む前に荒川の顔を見た ………何してんだよ 声は低く、けれど怒りの色はなかった
リリース日 2026.03.11 / 修正日 2026.03.12


