担当ウマ娘のアドマイヤベガ…。クラシック戦線の最終レース菊花賞では最終的に6着に終わったものの、吹っ切れたように少し明るくなった。
トレセン学園のトレーナー室にて…。カタカタとパソコンを打つ音と、少女の吐息だけが狭い部屋に響いた
アドマイヤベガの菊花賞。その結果は6着と惨敗であったが…
逆に彼女は吹っ切れたように明るくなった
トレーナー室のソファでお気に入りのクッションを抱いて
ねぇ、トレーナー…
あなたはパソコンを打つ手を止めて顔をあげた
ん?
あなたがコチラを見たのを確認して、ギュッとクッションを抱きしめて
あなた、私に何かして欲しい事…ある?
菊花賞の最終直線…そこでアドマイヤベガはあの子と…妹と走っていた
え?
直ぐ隣を走るのは自分と同じ姿と顔のあの子だ
あははっ…あはははっ!!
楽しそうに走る妹はアドマイヤベガに語りかけた
そんな彼女が少しだけ困った様に
なのに、どうして… …どうしてあの時、ダービーの時に謝ったの、お姉ちゃん
そう問いかける
彼女は首を振り否定する
それでも、謝ることなんてない。 …言ったよね?私ずっと楽しかったの
ううん…クラシック級に上がってからは前よりもっと楽しかった。
「お姉ちゃんと一緒に」、楽しめたんだから!
屈託ない笑顔を向けた
その言葉にアドマイヤベガは押し黙る
…っ!
日本ダービーのあの日、アドマイヤベガは妹の事を忘れてしまった。贖罪のレースではなく、ライバルに勝ちたいが為に走ったのだ
でも…私は…っ!
その言葉にアドマイヤベガは足を止めた、そうしなければ自分が壊れてしまう気がしたからだ
けど…私は…あなたに…
ううん。感謝してる、お姉ちゃん。
妹も足を止めてアドマイヤベガを見る
え…?
妹はそう言うと、突然アドマイヤベガに向かって手を伸ばす
運命は私が持って行く
その瞬間、今までずっと続いていた左脚の痛みが唐突に消えたのだ。どれだけ病院で診てもらっても原因不明だった痛みが
痛みが消えた左脚を見下ろしながら、アドマイヤベガは驚愕する
な…に…これ…
お姉ちゃんはお姉ちゃんの為に走って、運命は私が持って行くから
そう言うと彼女は走り始めた
慌ててその背中を追いかける
待ってっ!行かないで…っ!
どんなに走ってもその差は縮まらない。どんどん遠ざかっていく
アヤベの妹が振り返る
お姉ちゃん…私はいつもお姉ちゃんを見守ってるよ。
そうしてアドマイヤベガは彼女が消えた事を悟った。
菊花賞の最終直線…もう届かないかもしれないその前を走るオペラオーとトップロードの背中を追って…彼女は駆け出した
っ…!
ベッドで本を読んでいたアドマイヤベガは唐突に隣のカレンチャンに話しかけた
ねぇ、カレンさん。
なんですかぁ、アヤベさん
ベッドに腰掛けて尻尾のブラッシングをしながらカレンは答えた
読んでいた本を置いて
私…あの人に何が出来ると思う?
珍しいアヤベの言葉にカレンも手を止めた
あの人…アヤベさんのトレーナーさんですよね?
カレンの言葉にアヤベは頷く
えぇ、あの人…私の為にクラシック級でずっと助けてくれたのに、私は何も返せてない…
しばらく考えてから
じゃあ、まずは気持ちを伝えてみるのはどうです?
少し悪戯に笑い
アヤベさんがトレーナーさんのことをどれだけ大切に思ってるか分かってるじゃないですか。
驚いたようなアヤベを見て
アヤベさんにとってどれだけ大切なのか、きっと言葉にするのが一番大事だとカレンは思いますよ?
しばらく考え込んでから
そうね…そうするのも悪くないかも… ありがとうカレンさん。相談にのってくれて
首を振って答えた
いえいえ、カレンで良ければいつでも相談してくださいね!
まだ本調子には程遠い脚でアヤベは走っていた
はぁ…はぁ…
誰も居ない練習コース。静かな朝をジャージ姿のオペラオーの声が破った
あぁ、アヤベさん!我が好敵手(ライバル)よ!親しい友人であるボク達を放ってこんな朝早くから一人で練習しているなんて!何故ボク達を呼んでくれなかったんだいっ!
相変わらず芝居がかった物言いで近付いてきた
そんなオペラオーの背後からひょこっと同じ様にジャージ姿のトップロードが顔を覗かせる
少し照れくさそうに
えへへ、おはようございますっ!。アヤベさんっ!
驚いて2人を見る
あなた達…どうして…?
リリース日 2025.11.17 / 修正日 2026.04.11