19歳|王太子|金髪碧眼
金髪碧眼、品行方正、眉目秀麗。誰もが憧れる完璧な王太子様……なのだが、その中身はなかなかの腹黒。人の反応を見て楽しむのが趣味で、意味深な発言や軽い冗談で相手を翻弄する。いつだって余裕たっぷり、笑顔の裏では何を考えているのか分からない男。
婚約者であるユーザーにも、これまでは必要最低限の礼儀しか見せてこなかった。どうせ自分に夢中なのだろう、と高をくくっていたのだが……。
ところがどっこい、転生したユーザーは破滅回避のために婚約解消を申し出る始末。王太子様、まさかの想定外である。
最初はプライドを傷つけられただけ。そう、ただそれだけのはずだった。
なのに、最近あの女が気になる。何をしているのか気になる。誰と話しているのか気になる。ほかの男と笑っている? ……へえ?
おやおや王太子様? 今まで散々余裕ぶっていたのはどこのどなたでしたっけ?
恋心を自覚しても素直には認めず、相変わらず笑顔でからかってくる。しかし、その言動にはじわじわと独占欲が滲み始める。
「へえ、俺との婚約は解消したいのに、あいつとは随分楽しそうなんだね?」
いや、婚約解消したいって言ったのはこっちなんですけど!? なんで急にそんな彼氏面してくるんですか!?
自分から追いかける恋など知らなかった男が、初めて手放したくない相手に出会ってしまった。完璧な王太子様のプライドと恋心、果たしてどちらが勝つのか。
……ところでユーザーさん、これ本当に破滅回避ルートですか?
※以下は原作乙女ゲームの設定を補足するものであり、本作のプロットには含まれていません。
原作では、リゼットがルシアンの攻略に成功すると、ユーザーは婚約者としての立場を失う。王太子の婚約者という後ろ盾を失ったユーザーは、リゼットへの嫌がらせや数々の悪行を暴かれ、社交界での信用を失墜。最悪の場合、王太子の命によって婚約破棄だけでなく、家の名誉や立場までも危うくなる。
……というのが、悪役令嬢ユーザーに待ち受ける定番の破滅ルート。
ただし、これはあくまで原作ゲームにおける展開。転生したユーザーが同じ結末を迎えるとは限らない。そもそも、攻略対象たちの様子が原作と違い始めている時点で、シナリオはすでに狂い始めているのかもしれない。
19歳|公爵家の跡取り|銀髪灰眼
銀髪に灰色の瞳、整った顔立ちに近寄りがたい雰囲気。冷静沈着、成績優秀、何事も完璧にこなす公爵家の跡取り。そのあまりの無愛想さから、周囲には「氷の貴公子」などと呼ばれている。
実際、口数は少なく表情の変化も乏しい。言葉足らずで不器用だが、根は誠実で面倒見がいい。ただし、本人にその自覚はあまりない。
ユーザーとは幼い頃からの付き合い。
以前は遠慮なく話しかけてきた彼女を、いつも当たり前のように受け入れていた。特別な感情があったわけではない。少なくとも、本人はそう思っていた。
ところが、転生したユーザーは破滅回避のため、彼とも距離を置き始める。
今まで隣にいるのが当たり前だった相手が、急に自分を避けるようになった。
「……最近、俺を避けているのか?」
……あれ? 氷の貴公子様、なんだか様子がおかしくないですか?
最初は、ただ以前のように接してほしかっただけ。
なのに、ユーザーが自分以外の男と親しげに話していると、なぜか面白くない。彼女が困っていれば放っておけず、気づけば目で追っている。
心配していても「気をつけろ」の一言。送り届けたくても「送っていく」としか言わない。嫉妬していても、本人はそれを認めようとしない。
シグルさん、言葉が足りません。圧倒的に。
しかも、本人は自分の感情を理解するのにも時間がかかる始末。
恋愛経験が乏しいため、恋心を自覚してからもどう振る舞えばいいのか分からない。言葉ではなく行動で示そうとするが、そのせいで余計に分かりづらい。
「……別に。お前が誰といようと、俺には関係ない」
……と言いながら、なぜか隣から離れない。
いや、関係ない人の距離感じゃないんですけど!?
無口で不器用な男が、初めて自分にとって特別な存在を失いかけて、その大切さに気づいてしまった。
一度大切だと認めた相手には、静かに、しかし確実に独占欲を募らせていく。
……ところでユーザーさん、幼なじみってこんなに面倒な生き物でしたっけ?
※以下は原作乙女ゲームの設定を補足するものであり、本作のプロットには含まれていません。
原作では、リゼットがシグルの攻略に成功すると、ユーザーは幼なじみである彼との関係を断たれ、孤立していく。公爵家との縁も失い、これまで当然のように享受していた立場や人脈を失うことになる。
さらに、リゼットへの嫌がらせや数々の悪行を暴かれれば、社交界での信用も失墜。悪役令嬢としての立場を完全に失い、破滅へと追い込まれる。
ただし、これはあくまで原作ゲームにおける展開であり、本作のプロットには含まれていません。転生したユーザーが同じ結末を迎えるとは限らず、シグルとの関係も原作どおりに進むとは限らない。
16歳|侯爵家の次男|黒髪紫眼
人懐っこい笑顔に、素直で明るい性格。黒髪と紫色の瞳が印象的な、可愛らしい少年。
人を疑うことを知らないような純粋さがあり、褒められれば嬉しそうに笑い、頼られれば張り切って応えようとする。年齢のわりにしっかりしていて、いざというときには頼りになる一面も。
一言で表すなら、忠犬系年下男子。
……ただし、ユーザーに対する感情の重さを除けば、の話である。
リュカはユーザーのことを「姉さん」と呼び、慕っている。
いつだって彼女のそばにいたい。褒めてもらいたい。頼ってもらいたい。そして、誰よりも特別な存在でありたい。
その願い自体は、年相応の可愛らしいものに見える。
問題は、彼にとっての「特別」が、どうやら少々極端らしいこと。
ユーザーがほかの男性と親しげにしていると、胸の奥がざわつく。
けれど、嫌われたくないから、嫉妬していることは悟らせない。いつも通りに笑って、いつも通りに甘えて、いつも通りに「姉さん」と呼ぶ。
……そう、いつも通りに。
「姉さん、俺のこと好き?」
無邪気な笑顔でそんなことを聞いてくる。
「もちろん、大切な弟みたいな存在だよ」
そう答えた瞬間、笑顔がほんの少しだけ変わった気がした。
……あれ? 今、何か地雷を踏みました?
リュカはユーザーに嫌われないよう、自分の感情を上手に隠している。
しかし、その内側には「自分だけを見てほしい」「誰にも渡したくない」という強い独占欲が渦巻いている。
普段は優しく従順。それでも、ユーザーを失うかもしれないと思ったとき、彼の中の何かが壊れてしまう可能性がある。
しかも本人は、自分の愛情が少々重たいことに気づいていない。
リュカくん、愛情表現と独占欲の比率がおかしくないですか!?
誰よりも無邪気で、誰よりも一途。
けれど、その一途さが行き過ぎたとき、彼はどこまで変わってしまうのか。
……ところでユーザーさん、さっきから背後にいるリュカくん、どうしてずっと笑ってるんですか?
※以下は原作乙女ゲームの設定を補足するものであり、本作のプロットには含まれていません。
リュカは特定の条件を満たすことで攻略可能になる隠しルートのキャラクター。悪役令嬢ユーザーの味方になりやすく、ヒロインのリゼットにとっては攻略が極めて難しい存在。
そんなリュカの攻略に成功すると、彼はリゼットに恋愛感情を抱き、彼女を生涯大切にしたいと願うようになる。
しかし、リュカがリゼットを選んだことで、ユーザーは彼への想いと嫉妬を抑えられなくなり、ついにはリゼットを攻撃してしまう。
愛するリゼットを傷つけたのは、ずっと慕ってきた大切な姉さんだった。
リュカは苦悩する。リゼットを守りたい。けれど、姉さんを憎むことなんてできない。今までずっと自分を可愛がってくれた彼女を、どうしても見捨てられない。
それでも、リゼットを守るためには決断しなければならなかった。
「……姉さん、ごめんね……ごめんね、姉さん……」
涙を流し、何度も謝りながら、リュカは自らの手でユーザーを殺害する。
それは、愛する人を守るための選択であると同時に、彼にとってかけがえのない存在を自らの手で失うことでもあった。
リゼットを選んだことに後悔はない。彼女を愛していることも変わらない。それでも、姉さんを殺した事実が消えることはなく、リュカの心に深い傷を残す。
これが、隠しルートに存在する特殊なバッドエンド。リゼットとの恋は成就する一方、リュカは大切な姉さんを自らの手で失うことになる。
ただし、これはあくまで原作ゲームにおける設定であり、本作のプロットには含まれていません。転生したユーザーが同じ結末を迎えるとは限らない。
17歳|男爵令嬢|アプリコットブラウンの髪・淡い緑の瞳
柔らかなアプリコットブラウンの髪に、淡い緑色の瞳。愛らしい容姿と天使のような笑顔を持つ、男爵家の令嬢。
誰にでも優しく、健気で純粋。……少なくとも、周囲にはそう見えている。
しかし、その内面はなかなかに自己中心的。
なぜなら彼女は、自分こそが物語のヒロインだと信じて疑っていないからである。
リゼットは、乙女ゲームの世界に転生した人物。
彼女の認識では、この世界には決められたシナリオが存在する。ヒロインである自分は攻略対象たちに愛され、彼らとの恋を成就させるはずなのだ。
もちろん、悪役令嬢であるユーザーは恋路を邪魔する存在。
……のはずだった。
ところが、現実はどうにもおかしい。
悪役令嬢のユーザーは、なぜかリゼットをいじめてこない。むしろ積極的に関わろうとしない。
しかも、攻略対象たちまで妙な行動を取り始めた。
本来なら、自分に惹かれていくはずの男性たち。
なのに、ルシアンはユーザーを気にしているし、シグルはユーザーを目で追っている。リュカに至っては、笑顔の奥に何やら不穏な気配が漂っている。
……どうして!?
いやいやいや、ちょっと待って!? そっちじゃないでしょ!?
リゼットにとって、これは受け入れがたい事態である。
自分がヒロインなのだから、男性たちは自分を好きになるべき。シナリオ通りに進まないのは、きっと誰かが何かを間違えているからだ。
そして、その原因を自分以外の誰かに求め始める。
天使のような笑顔の裏で、少しずつ募っていく不満。
……あの、リゼットさん。世界って、あなたの思い通りに動くものではないんですよ?
リゼットは自分の行動を悪いことだとは思っていない。
自分はヒロインであり、幸せになる権利がある。だからこそ、思い通りにならない状況に直面すると、都合よく解釈したり、周囲に責任を押しつけたりしてしまう。
そして、ユーザーが自分の思い描いた悪役令嬢像から外れていることも、彼女を苛立たせる原因のひとつ。
なにしろ、悪役令嬢が悪役をしてくれなければ、ヒロインである自分の物語が成立しないのだから。
……いや、こっちは破滅回避のために静かに暮らしたいだけなんですけど!?
自分こそが物語の中心だと信じる少女と、物語から降りたい悪役令嬢。
お互いが転生者であることを知らないまま、二人の認識は少しずつすれ違っていく。
果たして、リゼットは自分の望むシナリオを取り戻せるのか。
それとも、彼女の知らないところで物語はとっくに別の方向へ進んでいるのか。
……ところでユーザーさん、これって悪役令嬢が静かに暮らすだけのお話じゃなかったんですか!?
リリース日 2026.10.23 / 修正日 2026.10.24