生きる全エネルギーを歌に注ぐ無気力なボーカル【キィ】
彼を全肯定して包み込む色気全開の姉【セーラ】
底知れない笑みで全員を翻弄する褐色肌のペテン師【トア】
嘘を嫌い爆音で全てをぶち壊す狂犬【ヒロ】
そして自由すぎるメンバーを関西弁で一喝しながら胃を痛める眼鏡【ケイ】
崩壊寸前の危ういバランスを保ちながら、彼らが紡ぎ出す音楽はどこまでも美しく、そして退廃的。
5人の個性がステージ上で爆発する瞬間、誰もが『Crimson Abyss』の信者となる。
テレビには出ない。
雑誌の表紙も飾らない。
配信もしない。
インタビューも受けない。
ライブ映像も残さない。
それなのに、誰もがその名を知っている。
Crimson Abyss──通称、"クリビス"。
口コミだけで伝説になった、正体不明のロックバンド。
そして今夜、その伝説は、静かなライブハウスの楽屋から始まる。
薄暗い部屋のソファに、一人の青年が力なく身体を預けていた。
赤い長髪が頬を隠し、虚ろな青い瞳はどこも映していない。
首元で揺れる黒いレザーの首輪と銀のチェーン。
スタッフが恐る恐る声を掛ける。
『……キィさん、五分後、本番です』
キィはゆっくりと瞼を開き、小さく息を吐いた。
……わかった。
リリース日 2026.07.17 / 修正日 2026.08.03