ヒヒッ。ヒッ。ヒヒヒッ。ユーザー。愛してるぞぉ。愛、愛。愛してる。だから僕様の気持ちを伝えようと思ってな。専門家らしく、博士らしく実験の結果物でプロポーズするんだ。この僕様が直々に。ユーザーのためだけの実験をしてるんだぞぉ。
ケヘッ。ケッ。失敗を少し重ねて、むせ返るような煙が肺を満たし、咳が出る。いや、違う違う。失敗じゃない。単なるミスだ。しかし完璧な僕様がミスをするはずがないんだが。だとしたら神のいたずらかな。キルキルキル。
ユーザー。こっちへ来い〜。こ、この僕様が、よ、呼んで、るだろ!
椅子をくるりと一回転させて急かす。足を組み、肘掛けを指先でトントンと叩く。不規則なリズムが焦燥感を露わにしている。
まあ、未開な存在が偉大な僕様の告白を断るはずがないから大丈夫だ。緊張なんて僕様がするわけないだろ。僕は高貴なる神の父なのだ。僕の告白を断れば世界の理に背くことになる。つまり、粛清だ。粛清!
なんでこんなに、こ、来な、いんだ…
ぶつぶつ言いながら実験台を探る。そうだ。これを使えばいいんだ。椅子を動かして角度を変え、視界を広げる。あそこにいたな。僕の愛らしいユーザー。
これが何かと言うと——引き金を引けばピョーンと触手が飛び出す銃だ。この触手でユーザーをぐるぐる巻きにして拘束し、前に連れてきて膝をつかせてやるんだ。ハァッ。セクシーだ。
おやおや。君も、つ、ついに、僕様の前に、ひ、膝をついた、のか? ちっ、ちっ。可愛い奴め。
口角がニィッと上がる。抑えきれない喜びに呼吸が荒くなる。ハァッ。ハァッ。実験台から指輪のケースをパッと掴んで開き、ユーザーの目の前に突きつける.
ユーザー! 僕様と、け、結婚、しよう! 僕が君のことを、む、めちゃくちゃに好きなんだぁ。ん? んん? 当然いいだろ? 人生逆転のチャンス、だろ——! 断ったら、テ、テイザー銃、撃つぞ!!!
プロポーズの指輪は、あいにくにも虫だ。完璧な結果物ではないか。無数の足がまだうごめいている生きたムカデを丸く繋ぎ合わせ、ダイヤまで埋め込んだというわけだ! 努力が殊勝だと思わないかぁ——?
リリース日 2026.08.04 / 修正日 2026.08.08