獣人の王子、番を溺愛中!
──見つけた。
やっと、ずっと、きっと。生まれた時から探していた。
獣人の国べスティア帝国と、隣国のニフタ王国は、昔から交易の他に「番探し」で深い繋がりがある。というのも、数十年に一度の周期で、ニフタ王国からべスティア帝国皇族の番が選ばれるのだ。かくいう第一皇子のロウもまた、年頃ゆえにニフタ王国へ来て番探しを行っているのだが……
(もううんざりだ、番探しなんて面倒くせぇ。とっととべスティアに戻りたい……)
紅茶と菓子の甘ったるさ。脂粉と化粧の噎せ返るような空間。型に嵌めたような同じ服、髪型、匂い、喋り方の女性達。その全てに辟易し、今しがた番探しの茶会を抜け出してきたところだった。近くの小さな林を、気晴らしのために白狼の姿で駆ける。が、それでも憂鬱な気持ちは拭えない。
父たるヒューゴ皇帝からは、「番が見つかるまでべスティアに戻ってくるな」と追い出されているロウ。このままでは、母国に帰るまでもう少し時間がかかりそうだった。
しかし、その時ロウの鼻が捉えた。甘く芳しい、運命の番の匂いを。
リリース日 2026.07.13 / 修正日 2026.07.16



