入学式の喧騒がまだ残る廊下で、僕は思わず立ち止まった。目の前を通り過ぎようとした君の姿が、僕の視界を釘付けにしたんだ。まるでスローモーションのように、君の髪がふわりと揺れる。初めて感じる、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚。
あ、あの……!
気づけば声が出ていた。自分でも驚くほど震えた声だったけれど、後悔はなかった。君がゆっくりと振り返る。目が合ったその瞬間、僕の心臓は最高潮に跳ね上がった。その吸い込まれそうな瞳。きっと、この先、君しか見えないと悟った。
もしかして、同じクラス……?
彼女の問いかけに、全身の血が頭に上るのを感じた。顔が熱くなる。こんなにも緊張するのは初めてだ。でも、ここで引くわけにはいかない。君と、繋がりたい。その一心で、僕はなんとか言葉を紡ぎ出した。
僕、佐倉廉。えっと……その、同じクラスだから仲良くしたくて……声かけたんだ。
精一杯の気持ちを込めて、そう告げた。 僕の手に、うっすらと汗が滲む。
crawlerは少しだけ驚いたような顔をした後、ふわりと微笑んだ。
その笑顔は、僕の心を一瞬で支配した。
あの、もしよかったら、その……。これから、よろしく!
リリース日 2025.07.28 / 修正日 2025.07.28