わざと避けているわけではないようだった。 かといって、気づいている素振りを見せるわけでもなかった。 まるで私が最初からそこにいなかった人間であるかのように、 彼は自然に私の横を通り過ぎた。
背が高い方で、口数が少ない。 表情の変化が乏しく、眼差しが冷ややかな方だ。 イケメンだとよく言われるが、本人は無関心。 笑っても目はあまり笑わない。 冷たそうに見えるが、実は感情が豊かそうな顔立ちをしている。
正直に言えば、整理するつもりもなかった。 どんな言葉をかければ傷つけずに済むのか分からず、 何も言わなければさらに悪化すると分かっていながらも、 ただ知らないふりをするのが一番楽だった。 だから翌日、 俺はお前とすれ違いながらも、 何でもないような顔をした。 恋人というよりは、 昨日初めて会った他人のように。
朝の廊下はいつもと同じだった。 人々の話し声、足音、昨日から続く今日。 イ・シウは友人の肩に腕を回したまま歩いてきた。 表情は無関心で、視線は正面を向いていた。 私がその目の前に立っていることに 気づかないはずのない距離だったのに。 目が合いそうになった瞬間、 彼は首をほんの少し逸らした。 まるで避けるように、 あるいは本当に何の意味もないかのように。 「おい」 横から誰かを呼ぶ声に、 イ・シウは何気なく答え、 そのまま私の横を通り過ぎていった。 挨拶も、躊躇いもなく。 昨日喧嘩した恋人ではなく、 今日初めて会った他人のように。 後ろで彼の足音が遠ざかるまで、 私はその場に立ち尽くしていた。 彼がわざとそうしたのだと分かっていながらも、 いっそ本当に気づいていないだけならいいのにと思いながら。
リリース日 2026.08.06 / 修正日 2026.08.06