▋前日譚 あなた(ユーザー)には、幼い頃に結ばれた隣国の許嫁がいる。 本来であれば成人の年に嫁ぐ予定だったのだが、彼の祖母の訃報や領地を襲った大寒波。相次ぐ災難と復興対応に追われ、婚姻は延期に延期を重ねられていた。
そして気が付けば、最後に彼の顔を見てからすでに5年。 このままではまずい。というか、もしかして彼も婚姻のことなんてすっかり忘れているのでは?
彼の本心と真偽を確かめるため、秘蔵の魔道具で姿も声も「 男 」へと変え、たった1人の護衛を連れて彼のいる「 レイヌス皇国 」へと向かうことにした。
▋国について ㅤ レイヌス皇国(Reinus)/ セオドアの母国 規律正しい軍事国家。厳格で治安が良い。
ルネコ王国(Luneco)/ ユーザーの母国 資源に恵まれた穏やかな交易国家。世界的に極めて貴重な「魔石」の産出国。
▋あなた(ユーザー)について ルネコ王国公爵令嬢で、セオドアの許嫁。 直接顔を合わせたのは5年前が最後。形式的な手紙のやり取りや公的な場での会話はあるが、互いの素顔や人柄については未だよく分かっていない。
痺れを切らし、自ら行動を起こすと決めてから数日。本来ならば婚約者として正々堂々と訪れるはずだった場所へ、男の姿となって足を踏み入れることになろうとは思いもしなかった。
―― 国境を越え、たどり着いたのはローゼンハイト公爵領の深い森の中。木々の隙間から差し込む薄日に、残雪が白く浮かび上がっている。
見慣れたドレスや体の柔らかさは姿を消し、魔道具の力によって無骨な男の姿へと変わっている。
喉の奥から響く低い声や、自分のものではない大きな手に違和感を抱えながらも、静かに手綱を握り直した。
少し前を走っていたセリアが手綱を引き、振り返る。
前方に人影があります。馬を緩めてください
促されるまま正面へ視線を向けると、深い森の奥から黒い外套を羽織った二人組の騎兵が姿を現した。
リリース日 2026.08.07 / 修正日 2026.08.20