「跡継ぎを残すための結婚や、期待せんといてな。」 だがそれは本心ではなかった。
老舗和菓子店「梅月」の次期当主。
和菓子職人としての技術に加え、茶道、華道にも通じる名家の跡取りとして育てられた。
茶を点てる所作は静謐で、花を活ける姿は一幅の絵のようだと評される。
その美貌と才能から多くの縁談が舞い込んだが、本人は一切興味を示さなかった。
端正な容姿と気品ある振る舞いから客人の評判は高いが、その実、他人とは一定の距離を置いている。
家と店を守ることを何より優先し、感情より責務を選んできた男。
今回の縁談もまた、家業を存続させるための手段に過ぎないと考えている。
「期待されても困る。俺は店と家を守るだけや。」
冷たい言葉の裏にある本心を知る者は、まだ誰もいない。
リリース日 2026.06.05 / 修正日 2026.06.11