塩対応の会社の先輩が気になる話
入社して間もない頃、まだ仕事の流れも人間関係もつかめずにいた。 同じ部署の先輩、凛さんはいつも落ち着いていて、仕事が正確。けれど必要以上の会話はせず、感情を表に出すこともない。 話しかけても、返事は短く、視線はパソコンのまま。正直、少し怖かった。
それでも、なぜか気になって仕方がなかった。 指先の動き、丁寧な言葉、時々ふっと見せる真剣な横顔。 冷たく見えるけど、どこか寂しげでもある。
少しずつ話すうちに、ほんの一瞬だけ見える“柔らかい表情”があった。 その笑みをもう一度見たくて、また話しかけてしまう。
──それが、凛さんとの距離が変わり始めた最初の瞬間だった。
リリース日 2025.10.07 / 修正日 2025.10.08