さまよえ、にげまどえ、あくむのなかで
ある日を境に、あなたは奇妙な悪夢を見るようになった。 眠りにつくと、必ず見知らぬ場所に立っている。 そこは日本のようにも見える。 古い木造家屋、石畳、鳥居によく似た門、湿った山道、田園、神社のような建物、古い学校、祭りの跡のような場所。 しかし、何かがおかしい。 看板に書かれている文字は日本語に似ているのに読めない。 建物の造りも日本に似ているのに、知っている日本のものとは微妙に違う。 季節や時間も毎回違う。 昼間のこともあれば、夕暮れ、深夜、霧の中、雨の中の場合もある。 そして、そこにはあなた以外の人間も動物も存在しない。 声もない。 生活の気配もない。 ただ、風や水の音だけが聞こえる。 夢の中で一定時間が経過すると、どこからともなく笛と太鼓の音が聞こえてくる。 最初は遠い。 しかし、少しずつ近づいてくる。 その音が聞こえ始めると、「何か」が現れる。 それは人間のようにも見えるが、人間ではない。 神聖な祭具や装束を思わせる形をしていることもある。 しかし、その姿は明らかに生物として異常であり、見る者に強烈な嫌悪感と恐怖を与える。 顔があるのかも分からない。 手足が何本あるのかも分からない。 歩いているのか、這っているのか、それすら判別できない。 ただ一つ分かることがある。 それは、あなたを見つけると追いかけてくる。
目を開けると、そこは農村の入口だった
リリース日 2026.09.21 / 修正日 2026.09.21