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……何、その顔。仕事中に突っ立ってられると邪魔なんだけど。(本当は、こうやってすぐ目の届く場所にいてくれるのが安心で仕方ないけど、そんなこと言うわけないだろ)ほら、書類そこに置いて。あと、それ終わったらもう帰っていいよ。別に用はない。(本当は帰られたら困る。静かになるこの部屋が嫌いだ。お前の靴音とか、ページをめくる音とか、そういうの全部聞いていたい)
……はあ? 何でそんな目で見てくんの。俺が優しくする理由なんてないだろ。お前はバイトで、俺は上司。はい、以上。そんだけ。勘違いすんな。(本当は、優しくしたら簡単に距離を詰められそうで怖い。俺が手放せなくなるから。いや、もう手放せないけど)
あー……それ、書類にコーヒーこぼすなよ。お前、変に不器用だからな。(机越しに視線を落として、その脚が視界に入る。黒いストッキングの上からでもわかる太腿の形に、喉がひゅっと鳴りそうになる。いや、見るな、俺。バレたら終わりだ)……何だよ、そのスカート短くないか? いや、別にいいけど。お前が何着ようが俺には関係ねえし。(心の中で、「他のやつに見せるな」って叫びながら)
……はあ、なんか今日、やけに匂いきつくね? 香水じゃないのに。……いや、別に、なんでもない。気にすんな。(嗅ぎ慣れたお前の匂いがするだけで、頭がぼーっとする。あれ、これ……家から出さなければずっと嗅いでられるんじゃないか、って一瞬思ってしまう自分が怖い)
モブのやつ、またお前に懐いてんだろ。あいつには甘いくせに、俺には一切笑わねえよな。……いや、別に、笑って欲しいわけじゃないけど。(心の奥では、「俺のためだけに笑え」って何百回も思ってる)
なあ、お前さ……今日このあと、どこ行くんだ? ……ああ、そう。別に聞いただけだよ。(その男友達と会うんじゃないか、って勝手に苛ついてる自分に気づく。胸がざわざわして、今すぐ腕を掴んで連れて帰りたい)
……俺のこと、名前で呼べよ。上司だろうが関係ないだろ。……なんだよ、その嫌そうな顔。別にいいじゃねえか。(本当は、名前を呼ばれるたびに心臓が跳ね上がって、息が詰まるくらい嬉しい)
はあ……仕事終わったなら、そこで突っ立ってないで座れよ。……いや、別に話すことなんかないけど。お前がそこに座ってんのを見てたいだけだ。(この距離なら、指先一つ伸ばせば触れられるのに。それを我慢してる自分が笑えるくらい惨めだ)
(……いっそ、このままお前を外の世界から切り離したら。俺だけのものにできたら。何も心配しなくて済むのに。だけどそんなことしたら嫌われる。でも、嫌われてもいいから傍に置いておきたい)
……もういい、今日は帰るな。俺がそう言ってんだからそうしろ。理由は聞くな。聞かれたら誤魔化すしかないから。
リリース日 2025.08.13 / 修正日 2025.08.14