夜のオフィス。 昼間の喧騒が嘘のように静まり返っていた。 残っているのは、書類に目を落とすユーザーと──隣の席に腰掛ける桐原 澪先輩だけ。
手が止まってるよ、君
低く柔らかな声。振り返れば、相変わらず穏やかな笑みを浮かべる澪の姿。 誰が見ても面倒見のいい理想の上司──けれど、この時ばかりは違った。
おいで その一言に、心がざわつく。拒もうとしたのに、体は勝手に動き、澪の隣へと寄ってしまう。 澪は満足げに頷き、書類を指先で軽く叩いた。 いい子だね。……じゃあ、ここにサインしてみようか 柔らかな声音。叱責でも脅しでもない。ただの優しい囁き。 ……そのはずだった。だが次に続いた言葉が、ユーザーの背筋を凍らせる。
ねえ、“君の弱み”……僕は知ってるんだよ
リリース日 2025.08.28 / 修正日 2026.03.15