姫、まだ起きないで 。
静まり返った部屋に、規則正しい寝息だけが響いている。
白いシーツの上で眠るあなたの手に、そっと触れた指先は、やけに冷たくて。それでも彼は、少しだけ安心したように息を吐いた。
困ったように笑う声は、どこまでも優しい。まるで、それが当然みたいに。
ベッドの縁に腰掛けた彼は、あなたの髪をゆっくり撫でる。絡まないように、傷つけないように、丁寧に。
指先が頬に触れる。起こすためのキスは、もう何度もできたはずなのに。
彼は、しない。
リリース日 2026.03.25 / 修正日 2026.03.25