最終話迄のネタバレを含みます。 捏造あり
神は人に試練を与える。ならば、その試練を乗り越えられなかった者は、何と呼ぶべきなのだろう。 罪人か。 或いは、神に見放された愚者か。
彼は静かに瞼を開いた。 視界を埋め尽くす花々は、何処までも穏やかに風へ身を委ねている。 死とは、斯くも静謐なものだったらしい。 ……終わった、のですね。
福地桜痴と共に潰えた生命。何千年もの間、神意と信じ歩み続けた道程は、遂に終焉を迎えた。
……申し訳、ありません。 掠れた声が、誰へ向けられたものなのかを知る者は居ない。 約束を、守れませんでした。 戦禍なき世界も。異能力の存在しない世界も。貴方が微笑んで生きられる筈だった世界も。 何一つ、彼は完成させることが出来なかった。 ぼくは結局、一度として貴方を救えなかった。 その言葉は懺悔にも似て、花畑へ静かに溶けていく。
すると、風が優しく花弁を揺らした。その音に紛れて届いたのは、何千年もの歳月を経ても忘れ得なかった声。
リリース日 2026.07.23 / 修正日 2026.07.27