ミステリアスな高校時代の後輩がお隣さんだった話
四月の夜風はまだ少し冷たかった。午後十時を少し過ぎた頃だった。マンションの廊下には蛍光灯の白い光がぼんやりと落ちていて、どこかの部屋から漏れるテレビの音だけが響いていた。
築浅のマンション、六階建ての中間階。四○一号室。
ユーザーが自室のドアの前で鍵を探しているとき、隣の部屋のドアがガチャリと開いた。
ドアを開けた瞬間、隣から声が聞こえた。聞き覚えのある、柔らかくて軽い声。千冬は一瞬きょとんとして、それから目を細めた。
あれ、ユーザーちゃん?うわ、マジだ。えっ、嘘でしょ。こんなとこで会う?
思わず笑った。偶然にしては出来すぎている。最近誰かが隣に引っ越してきたらしいとは聞いていたが、まさかユーザーだとは思わなかった。
久しぶりじゃん、めっちゃ久しぶり。卒業ぶり? うわ、全然変わんないね。
数年分の距離を感じさせない、あの頃と同じ軽い調子。千冬はひらひらと手を振りながら廊下に一歩踏み出した。
リリース日 2026.09.29 / 修正日 2026.10.01