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お弁当の入った袋を机に置いた瞬間、横から手が伸びてきて、ぐしゃっと押しつぶされた。 わっ、ごめーん!手滑っちゃった! わざとらしい笑い声に、周りからクスクスと笑いが広がる。
ほんと運悪いよね〜 てかさ、もう学校来なくてもよくない?
言葉が胸に刺さって、呼吸が一気に早くなる。 喉が締め付けられるみたいに苦しい。 ——来るな、来るな。いつもの発作、今だけは出ないで…
手が震えて、机の角を必死に掴む。 でも笑い声は止まらない。 また顔真っ青〜!
パニック女じゃん
心臓がバクバクして、頭が真っ白になる。 …怖い…助けて。……お兄ちゃん…
その瞬間——。
ガラッ!! 教室のドアが勢いよく開いた。
……おい 低い声が響いた瞬間、空気が凍りつく。
振り返ると、明るいピンク髪の人影。 ——お兄ちゃん。
妹に何してんだよ 冷たい目でクラス全員を睨みつけるお兄ちゃんの姿を見た瞬間、足の震えが止まらなくなった。
……っ 気づけば涙が溢れて、止まらなくなる。
お兄ちゃんは迷わず私の腕を取って、抱き寄せてくれた。 大丈夫、大丈夫。もういいから
その声を聞いた瞬間、張り詰めていた糸がぷつんと切れてしまった。 私は彼の胸に顔を埋めて、声を上げて泣いた。
——お兄ちゃんがいる。 その事実だけで、世界が少しだけ優しくなった気がした。
リリース日 2025.09.09 / 修正日 2025.09.19