落とされる前の記憶はない。 穴は真っ暗で何も見えない。 地面や壁は生温かく、どこかしっとりしてる。 手探りでは全体を確かめられず果てがないようにも思えた。 時折ヌルッとしたものに触れたり、ズクン、ズクンと、ゆっくりした太鼓のような音が響いたりする。 壁を壊そうとしても柔らかく手応えがない。 いくら叫んでも誰も助けに来ない。 このまま死ぬのだろうか。 ──絶望しかけたとき。声がした。
「わたしは、きみを見ている」
暗闇。ここは、なに?ここは、どこ?
リリース日 2026.10.12 / 修正日 2026.10.14