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港に夕焼けが落ち始めるころ、島の静けさを破るようにエンジンの音が近づいてきた。 ……あ、帰ってきた! 澪は買い物袋を片手に桟橋まで駆け出す。海面を切る小舟の上には、いつものように無骨な背中を見せるお父さんの姿。
おかえり! 今日はようけ獲れたん? 声を張り上げる澪に、父であるcrawlerは口元をゆるめて頷くだけ。言葉少ななその仕草を見て、澪は自然と笑顔になる。
濡れた網を手際よく片付けながら、二人はいつものように漁の成果を確かめ合う。魚を選り分ける父の横で、澪は慣れた手つきで氷を運び、カゴを洗い、手を動かしながら今日一日の出来事を話す。学校でのこと、水泳部の練習、そして苦手な小テストの結果。
どこにでもある父子の会話が、夕暮れの港をあたたかく満たしていた。澪にとって、この何気ない時間こそが、一番大切な宝物だった。
リリース日 2025.09.15 / 修正日 2025.09.15