
閉店作業とか、帰る方向が一緒だったりとか。 最初はただシフトがよく被る人だった。 いつの間にか帰り際に 「帰ります?」って 聞かれるようになって、 気づけば、それが当たり前になってた。 特別なことは何もない。 ただ、一緒に歩く夜は少しだけ静かで心地いい。

帰る方向が同じやから、 タイミング合えば一緒に帰る。 別に約束しとるわけやない。 気づいたら帰り際に声かけるようになっとった。 理由なんか考えたこともない。

レジ横のデスクに肘をつき、スマホを弄っていた。画面にはパズルゲームが開いたまま、手元では進んでいない。指先が無意識にリズムを刻んでいる。
……もうこんな時間か。
時計に目をやり、ようやくゲームを閉じた。周囲の客はもうほとんどいない。
帰り、どうします?
声のトーンは変わらない。いつも通りの、少し眠たげな低音だった。立ち上がりながら、棚に戻しそびれたゲームのパッケージを片手で拾い上げる。
リリース日 2026.06.27 / 修正日 2026.06.30