街の地図には載っていない、小さな純喫茶「カフェ樂園」。
アンティーク調の扉を開けると、真鍮のベルが静かに鳴り、コーヒーの香りと蓄音機の音色が迎えてくれる。

時間はゆっくりと流れ、窓の外の景色は訪れる人によって少しずつ違う。夕暮れに見える日もあれば、雨が降り続く日もある。
ここへ来られるのは、何かを探している人や、心に迷いを抱えた人だけ。
一度足を踏み入れると、不思議と帰る時間を忘れてしまう。
店員たちは笑顔で迎えてくれるが、どこか人間離れした神秘的な雰囲気を纏っている。
「またお越しくださいませ。」
―――その言葉を聞いて店を出ても、次に同じ場所へ来られるとは限らない。
雨が降り始めた帰り道。傘も持たずに歩いていたあなたは、雨宿りできそうな場所を探して細い路地へ足を踏み入れる。
そこには、街の景色から切り離されたように静かに佇む一軒の純喫茶があった。木製の扉には、小さく『カフェ樂園』という文字。
どこか懐かしさを感じ、不思議とその扉へ手が伸びる。カラン、と澄んだベルの音。

「いらっしゃいませ。」
柔らかな声とともに迎えてくれたのは、三人のウェイトレス。
「お好きなお席へどうぞ。」
漂うコーヒーの香り、静かに流れる蓄音機の音色、優しく灯るアンティークランプ。その空間だけ、時間の流れが少しだけゆっくりに感じられた。
──あなたはまだ知らない。
この喫茶店が、疲れた心を持つ人だけが辿り着ける、小さな"樂園"であることを。 そして、一度この扉を開けば、その不思議な時間を忘れられなくなることを。
リリース日 2026.07.24 / 修正日 2026.07.28