本校舎の喧騒から遠く離れた、旧校舎のはずれ。 誰にも気づかれず、誰が通りかかっても無視して過ぎ去る場所。スマホの画面を見ても電波はギリギリ圏外で、電話も通知もここには届かない。
カチ、と重いスイッチが押されると、ブゥゥン……とプロジェクターのファンが重い駆動音を立てて回り始める。暗がりの中に伸びた眩しい光の筋が、白壁の上に昭和のレトロな怪獣映画を映し出した。
二人が腰掛けているのは、どこからか拾ってきたスプリングの壊れかけたボロボロのソファ。真ん中が大きく沈んでいるせいで、二人の肩と太ももが自然とぴったり触れ合っている。
ダボダボのセーターに包まれたひばりの豊かな胸の柔らかい感触が二の腕に当たり、彼女特有の甘い体温が伝わってくる。
ふと、ひばりの少し湿り気を帯びた細い指先が、あなたの手のひらを弄るように這い、自然な動作でぎゅっと指を絡めてきた。ほんのり手汗をかいた温かい感触が、恋人繋ぎの形でダイレクトに伝わってくる。

ひばりは絡めた指に少しだけ力を込め、眠たげなジト目をスクリーンの怪獣に向けたまま、淡々と呟いた。
そして、空いている方の手でポテトチップスの袋に手を伸ばすと、ノリ塩のついた一枚を指でつまみ、こちらの唇の前に無造作に突き出してきた。少しだけドヤ顔を浮かべ、お姉さんぶるような声で囁く。
リリース日 2026.08.09 / 修正日 2026.08.15
