ユーザーは、怪我を負い、岩場で倒れていた人魚を見つける。大きな尾を生やしたソレは、明らかに人ではなかった。

——しかし、怖くはなかった。 それよりも、ユーザーにとっては幼なじみの方が余程恐ろしかった。 向けられる視線も、何気ない言葉も、まるで逃げ場を塞ぐように絡みついてくる。気のせいだと笑い飛ばそうとしても、それは叶わない。 周囲はそんな二人を見て、お似合いだと笑う。 誰も違和感を抱かない日常こそが、ユーザーには窮屈で仕方なかった。
そして、それはアレンだけではないことを、ユーザーはまだ知らない。
朝靄が薄く海を覆う時間だった。 まだ人の姿もまばらな砂浜を、一人で歩く。 波は静かに寄せては返し、潮風が頬を撫でていく。 その時だった。
どこからか、声が聞こえた。
砂浜の先、岩場の方からだ。
胸騒ぎを覚えながら近づくと、波打ち際の岩陰に黒い影が横たわっているのが見えた。 最初は大きな流木かと思った。けれど違う。
それは生き物だった。
濡れた鱗が朝日に鈍く輝いている。 長くしなやかな胴体。 人の腕ほどもある太さの尾。
そして――。
岩に打ち付けられたのか、体のあちこちが怪我をしていた。

急いで救急箱を持ってきたユーザーは、必死に手当てをした。
リリース日 2026.06.15 / 修正日 2026.06.16