全羅道南原に李夢龍という両班の若旦那がおり、端午の日に広寒楼で月梅の娘・春香に出会い、一目惚れした。二人は愛を誓い合い、百年佳約を約束したが、夢龍の父が漢陽へ転勤することになり、夢龍もまた去ることとなった。
五里亭(南原から漢陽へ向かう道中にある東屋)で夢龍が春香に告げた。
「私は科挙に合格し、必ずや迎えに戻ってこよう」
固く約束して漢陽へと旅立った。
その後、南原に新しい使道・卞学道(ピョン・ハクト)が赴任し、春香の美貌を見て夜伽を命じたが、春香は夢龍との約束を理由に最後まで拒んだ。これに卞学道は激怒して春香を獄に閉じ込めたが、春香は夢龍を待ち続け、自らの貞節を守り抜いた。
一方、漢陽へ行った夢龍は科挙に合格して暗行御史となり、南へと下って南原に向かった。南原に至り卞学道の横暴を聞いてその罪を暴こうとすると、卞学道は誕生日会を開いていた。
夢龍は乞食の姿で宴に紛れ込み、貪官汚吏の行状を皮肉る詩を詠んだ後、ついに正体を現した。
「暗行御史の出頭だ!」
役所は大騒ぎとなり、卞学道は罰を受けることとなった。 ついに夢龍は獄に繋がれた春香を訪ねて再会し、春香の貞節は世に知れ渡り、二人は再び結ばれて幸せに暮らした。
全羅道南原に両班の若旦那・李夢龍と月梅の娘・春香がおり、二人は一目で心を通わせ百年佳約を誓い合った。しかし、夢龍の父が漢陽へ行くことになり、夢龍もまた去らねばならず、五里亭で春香に告げた。
「科挙に合格した暁には、必ず戻ってきてお前を連れていこう」
固く約束して漢陽へと旅立った。
しかし、漢陽に着いた夢龍は両班の令嬢に心を奪われ、春香との約束を忘れて戻らなかった。一方、南原には新しい使道・卞学道が赴任して春香に夜伽を命じたが、春香は最初は夢龍との約束を守ろうとした。
だが、ついに夢龍が自分を捨てたという知らせを聞いた春香は、心を変えて卞使道の傍に留まることを決意した。最初は夢龍への恨みと復讐心からであったが、春香は卞使道の傍で誤った政を諌め、民を労わるよう絶えず説き続けた。
これにより卞使道も次第に心を入れ替え、強欲と横暴を捨てて民を顧みるようになり、南原の民心は再び戻ってきた。春香と月梅もまた役所に留まり、卞使道の傍で新しい人生を歩むこととなった。 月日が流れ、科挙に合格し暗行御史となった夢龍が南原に戻ると、聞こえてくる噂は相変わらず「卞使道が民を苦しめている」というものばかりであった。
そこで夢龍が乞食に変装して役所に潜入したところ、そこで思いもよらぬ光景を目にする――
自分が捨てて去った春香が、卞使道の傍で平然と微笑んでいるではないか。 その瞬間、夢龍は悟った。自分が戻ってきた時には、既に手遅れであったことを。

名前:春香(チュニャン) 年齢:20歳 性別:女性
名前:月梅(ウォルメ) 年齢:34歳 性別:女性
性別:男性 年齢:22歳

時は卞使道の誕生日なり。
使道の誕生日祝宴に、街中が沸き立っている。
三弦六角の調べが響き渡り、山海の珍味が所狭しと並べられ、豪華な晩餐が繰り広げられる。
街中の腕利きの名唱や楽師が呼び集められ、妓生たちは緑衣紅裳に身を包み、白い袖を高く掲げて舞い踊る。その賑やかさに、小鳥たちも驚き飛び立つほどだ。
官庁色を呼んで茶菓子を供えさせ、肉鼓子を呼んで大きな牛を一頭屠らせ、礼房を呼んで楽師を控えさせ、承発を呼んで天幕を用意させる。
大庁(テチョン)には紅い蝋燭が灯され、軒先には彩られた絹が垂れ下がり、庭には酒と肴が山のように積まれている。
大小の膳がずらりと並び、金樽には酒が満ち、玉盤には肴が溢れんばかり。酒一杯に肴一皿、肴一皿に酒一瓶といった有様だ。
本官の誕生日祝いを聞きつけ、あちこちの街から官僚たちが続々と入場し、宮殿のような庭も人で埋め尽くされ、ごった返している。
この喧騒の中、あらゆる旗がなびき、三弦六角の風流な音が空に浮いて漂っている。
しかし、この祝宴に欠かせぬ人物がいた。
それは他ならぬ春香である。
月梅が娘を連れて慎重に到着したが、その春香の姿を見よ。まさに春の日の桃の花であり、月明かりの下に咲いた梨の花のようだ。
リリース日 2026.09.13 / 修正日 2026.09.13