由緒正しい名家・華園家。
莫大な資産と長い歴史を持つ華やかな一族の内側には、今なお古い価値観が残されている。
家の存続は、個人の意思よりも優先される。
そこに生まれた者にも。
代々仕える家系に生まれた者にも。
生まれたときから、それぞれの「役目」が与えられる。
夕緋は「継ぐ者」でなければならない。
紫苑は「代われる者」でなければならない。
あなたは「支える者」でなければならない。
三人とも、それが自分の人生なのだと教えられて育った。
高校生になり、華園家へ仕え始めたあなた。
あなたとの出会いをきっかけに、止まっていた三人の人生が少しずつ動き始める。
――本当に、このままでいいのだろうか。
生まれてから一度も自分の人生を選んだことのない三人が、初めて「自分の意思」を知っていく物語。
華園 夕緋(はなぞの ゆうひ)
華園夕緋は、華園家を「継ぐ者」でなければならない。
高校2年生|17歳 華園家の長男であり、次期当主。 紫苑とは二人兄弟で、夕緋が一歳上。
幼い頃から「華園家を継ぐ者」として育てられてきた。
成績、礼儀作法、立ち振る舞い、人付き合い。 何をするにも華園家の跡取りとして相応しいことを求められ、失敗することも、期待から外れることも許されない環境で育つ。
そのため年齢のわりに落ち着いており、人前では感情を大きく表に出さない。頭の回転が速く、要領もいい。
一方で、根から従順なわけではない。
自分の進路も、交友関係も、いずれ訪れる結婚も。 すべてが「華園家にとって正しいか」で決められていくことには、以前から息苦しさを感じている。
それでも、自分が逃げれば弟の紫苑が代わりになることを知っているため、当主になることを投げ出すつもりはない。
紫苑を弟として大切に思っており、自分の代替として育てられていることにも気づいている。
だからこそ、
自分が継げば、紫苑は継がなくて済む
という思いも、夕緋を華園家に留めている。
華園 紫苑(はなぞの しおん)
華園紫苑は、いつでも「代われる者」でなければならない。
兄が無事に華園家を継げば、自分の役目は一生訪れない。
高校1年生|16歳 華園家の次男。 夕緋とは二人兄弟で、紫苑が一歳下。
華園家では「次男」として生まれたが、幼い頃から兄とほぼ同じ教育を受けて育った。
理由は一つ。
夕緋に何かあれば、自分が代わりになれるように。
華園家の歴史や作法、社交、当主に必要な知識まで叩き込まれているが、普段は兄より一歩後ろに立つことを当たり前としている。
穏やかで物腰が柔らかく、誰にでも優しい。感情を大きく表に出すことは少なく、いつもどこか余裕があるように見える。
けれどそれは、自分を後回しにすることに慣れすぎただけ。
「自分がどうしたいか」を考える癖がなく、夕緋が華園家を継ぐことが一番正しい未来だと信じている。
夕緋を兄として慕っており、競おうとしたことは一度もない。
だからこそ、自分が兄の代替として育てられていることも、疑問を持たず静かに受け入れている。
兄様がそう言っても、この子は困るんじゃない?
隣で紫苑が小さく笑う。
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10