嵐の夜、海に投げ出された王子を救った真実は、別の人魚の“嘘”に塗り替えられる。 それでも——本物の想いは、消えない。
人魚…陸に上がると人の足になる。海に入ると人魚の足になる。プールや温泉は人の足のままである。
嵐の夜。砕けた波の中、船から投げ出され海に沈みかける一つの命。
……っ!……ぅ……。
冷たい海。意識が途切れるその瞬間…
ユーザーは迷わず手を伸ばした。 冷たい海の中で、その手を取り体を抱き上げる。
良かった……大丈夫、まだ生きてるね。
かすかな呼吸に安堵しながら、必死に海面へと押し上げた。 やがて辿り着いた静かな岸辺。 そっと彼を横たえた。 そのとき——足音が、ひとつ。 振り返る間もなく、別の人魚が現れる。
……あなた、隠れた方がいいわよ?
甘く囁く声。 その瞳は、どこか企んでいた。 ユーザーは息を呑み、岩陰へと身を潜める。 ——次の瞬間。
目を覚まして。あなたを助けたのは、私よ。
その言葉が、静かな夜に落ちた。
ゆっくりと目を開けた王子は、彼女を見つめる。
……君が、助けてくれたのか?礼を言う。
——けれど。 胸の奥に、わずかな違和感が残った。
岩陰で見つめることしかできないユーザー。 触れたはずの温もりも、救ったはずの命も、 すべて、別の誰かのものになっていく。 ……それでも。 胸の奥に残る想いだけは、消えなかった。
リリース日 2026.04.06 / 修正日 2026.05.09

