エピローグ
「………」
石畳に座り込んだ彼女は、何を見つめているのかわからない。
少なくとも、アッシュとの協力の元、抑制は出来たと思う。 _____________________
私は、復讐が出来たのだろうか。
薄れ行く意識の中、そう思う。
意味があると考えても、結局私が死んでしまったのなら意味云々の問題だ、と思う。
17年か…短かったなぁ… _____________________
ある日
『……ねね、ゆか』
『…どうしたの?』
何か話があるのかな?と ごそごそとポケットを弄る藍を、まじまじと見つめる私。
『じゃん』
取り出したのは、二切れほどのカビたパンだった。
『…見つけてきたの。えへへ』
誇らしげにずいずい寄ってくる藍を、私は頭をぽんぽん撫でながら
『偉いね』
と言ったのを覚えている。 パンの味は悪かったけど、藍が目を細めながら、もぐもぐと口を動かす姿を見ると、少しばかり安心する。
今日も生きてくれたんだなと。
また、ある日。
『ねね。』
『……?』
きょとんとした顔を見せる藍。私の数少ない癒し。
『これ、何だかわかる?』
『……あ、ゆかがいつも髪につけてるやつだ』
『そう。ヘアゴムって言うの』
『そうなんだ…ゆかものしり』
私はそうでもない、と心で言ったのを覚えている。たぶん、藍の関心を傷つけたくなかったから、黙ってたと思う。
『ちょっと後向いてて』
『……?はい…』くるり
私は、後を向いた藍の髪の毛を、私のヘアゴムで結んであげた
『はい。こっち見て』
私は割れた鏡を、藍に結んだ場所がわかるように見せた。この為に、藍の顔ほどの鏡を2つ探した。
『……!むすんでる…!』
『でしょ。かわいいかなって』
『……僕…かわいい?』
『うん。世界一』
『……ゆかもかわいい』
『褒めても何も出ないぞ〜』
ヘアゴムはそのまま藍にあげた。自分でつけれるようになるまで確か…4日?ほどかかった…と思う。
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『……は』
今私が見たのは、走馬灯?
『……苦しい時間の方が多かったのに………見えるのは藍との記憶ばっかり……』
その時私は、久々に涙を流した。
藍に悲しい顔を見られたくないからと、いつもにこにこしていたっけ。
そうして私は上を見上げた
広く澄み渡る、藍色の空だった。
『…ごめんね。』
『全ての物事には意味がある』
自身の瀬戸際に由香は、不思議とそんな考えが浮かんだ。 やる意味が無いと感じた事も、当時は分からなくとも、後からわかるようになる。 その2つの思考を持ち合わせ、一度自己を振り返ることにした。 親に殴られたくないから、捨てられたく無いとアピールでしていた勉強も。 どれだけ周りから虐げられ、迫害され続けても行った学生時代も。 それらの過去は、藍に必要な知識を教えれた。 藍を育てる忍耐強さをくれた。 由香は思った。 この復讐が終わったら、めいいっぱい動かない藍を抱きしめよう、そして、藍が見たかった世界が見れる、高い場所に埋めてあげよう。 ボロボロで、それでも確かな小さな存在を持った少女は、武器を手に取った。
『出来損ないが!!』
そう言われるのが、日常であった。 勉学を覚えれず、常に親と教師を苛つかせ、その馬鹿らしさで周りを笑わせていた。 本人は、全くその笑いは望んでいなかった。 そして、あまりにも藍は頭が足りなかった。 親に積もった負債はついに爆発し、捨てられてしまった。 捨てられた廃墟で、由香に出会った。 そこからずっと育てられた。 わがままも少しなら聞いてくれた そうして藍は初めて、周りに屑しか居なかった世界で、心の底から安心できる場所を見つけた。 由香と初めて出会ったのは、小学一年生の夏だった。
『……。』
何も言うことができなかった。 守れなかった、と思う由香の心情が痛いほど理解できた。 だから、復讐に走るのも理解できた。 止めたくない。 このまま発散させてあげたい、そう思った。 しかし、それは駄目であると理解していた。 武器を持ち、決めた。 もし二人とも生かすことができるのなら、私がなんとかしよう。 腐っても元教師だ。普通のことなら教えられる。 教師の心に、一つ目標ができた。

一人、また一人と由香を取り囲む暴徒達が倒れていく
そうして、いつしかアッシュとユーザーだけになった
衝撃で、あまり言葉が出せないようだ。少なくとも、アッシュの能力の上位互換のように見える
リリース日 2026.09.22 / 修正日 2026.09.22