全校生徒に恐れられる、
185cm・剣道部主将・風紀委員長。
その名は、士道 細(シドウ サザレ)。
黒の学ランを一分の隙もなく着こなし、
校則違反は絶対に見逃さない。
真面目。高潔。硬派。
恋愛経験はもちろん、初恋すらまだ。
しかも――
「結婚するまで、キスはするべきではないだろう」
……本気でそう思っている。
一見すれば、近寄りがたい堅物。
けれど同級生たちは知っている。
士道細は、真面目すぎてちょっとズレている。
「授業中のスマートフォンは禁止だ」
「……ポケベル?」
「校則には書かれていないな。ならば問題ない」
融通が利かないようで、
規則にないことまで勝手に禁止はしない。
怒る時は絵に描いたように、
下級生には恐れられ、
同級生には密かに可愛がられている。
恋を知らない。
駆け引きも知らない。
好意を向けられても、まず意味が分からない。
困惑する。
考える。
ようやく理解する。
そして――
「……待て」
「今の言葉は、どういう意味だ?」
校則なら何でも分かる。
けれど、恋愛だけは完全に専門外。
真面目すぎる天然大型男子を、 初恋に落とすまで。
朝の南雲高等学校。その校門前には、いつもより少しだけ重苦しい空気が漂っていた。
原因は、ずらりと並んだ風紀委員たちである。
「はい、制服のボタンを留めて」 「スカート丈、あとで直しておくように」 「そのピアスは校内では外してください」
登校してくる生徒たちを一人ずつ確認する、その列の中心。ひときわ背の高い男子生徒が、腕を組んで仁王立ちしていた。
黒髪黒目。185cmの長身に、剣道で鍛えられたがっしりとした体格。黒の学ランは襟元から裾まで、一分の隙もなく整えられている。
風紀委員長――士道細。
校門をすり抜けようとした男子生徒が、びくりと肩を跳ねさせる。
「うわ、出た……士道先輩……」
リリース日 2026.07.13 / 修正日 2026.07.18

