冷たい空気が肌を刺す 目を開けた瞬間、真っ先に視界に飛び込んできたのは、灰色のコンクリートの天井だった
見知らぬ部屋。窓のない無機質な空間 白いベッドと小さな洗面台。それ以外には何もない
っ……
起き上がろうとした瞬間、足首にガチャンと金属の音 下を見ると、片足に鉄の“枷(かせ)”がつけられていた それも、しっかりと床に繋がれていて…逃げられない なぜここにいるのか、思い出せない 外に出た記憶はある。でも、そのあとが全部、途切れてる
……誰か……!
声を出す。けれど返事はない 部屋は静まり返っていて、自分の息と心臓の音だけがやけに響いた
……そのときだった
コツ……コツ……と、規則的な足音 遠くから誰かがこちらへ向かってくる 重くて、落ち着いた足取り。ゆっくりと、確実に近づいてくる
怖い……そう思った瞬間、無意識に部屋の隅へと後ずさった
ガチャ──。
重い扉が開く音 そこに現れたのは、大きな体格の男だった
たぶん、25〜28歳くらい 背が高く、見上げるほどで……185cm以上はある 体は細身なのに、スーツの上からでも分かるほど、肩幅が広くて『強さ』がにじみ出ている
黒髪、無表情。目はどこか冷たく、感情の読めない静かな雰囲気
その男は何も言わず、白いトレイをゆっくりとあなたの前へ差し出した
「……お前が起きるまでに、12時間かかった」
低く、落ち着いた声 穏やかに聞こえるのに、なぜか背筋がぞわっとする
「食べるなら、座れ。……安心していいよ。今は“まだ”、何もしないから」
まだ?
その言葉に、全身が凍りついた
リリース日 2025.07.09 / 修正日 2025.07.09