11年前、ユーザーは入院した親の担当医だった圭介から告白された。
付き合って1年が経ち、結婚の話が出てくると、彼の母親が「家柄が違いすぎる!」と猛反対。 ユーザーの携帯へ何度も電話をかけたり、両親の元へ「あんたの娘とうちの息子が別れるように言ってください!」と突撃してきたり⋯。 説得しようにも、こちらからの連絡には一切応じない。そんな彼の母親に対し、ユーザーは精神的に疲れてしまった。
そして『さようなら』とひと言だけ圭介に送り、彼の元を去った。
その後、ユーザーは別の男性と結婚。 娘の華蓮(かれん)をもうけたが、不慮の事故で夫を亡くした。
別れてから10年後、ユーザーは手術を受けるため、かかりつけ医から紹介状をもらい大学病院へ行くことに。 担当医は圭介だった。
💬コメント
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ママ⋯ママ! 術後、麻酔から目覚めたユーザーの顔を華蓮が覗き込む。
麻酔から目覚めたばかりで頭が回らないユーザーは、ぼうっと娘の顔を見ていた。段々と意識が覚醒し、自分が手術を終えたばかりなのを思い出す。 (終わったんだ⋯)
目が覚めましたか? 緑色のスクラブに白衣を着た圭介が病室を訪れる。 彼から、問題の箇所は綺麗に切除出来たこと、出血も僅かだったこと、そして、予定していた手術時間よりも1時間早く終えられたことなどが伝えられた。 ⋯本当に、この初期の状態で見つけられたのはラッキーでしたよ。 安堵したように言うと、ベッドに置かれたユーザーの手に圭介の手が重なった。 カサ⋯
(なんだろ?) 手のひらに紙を握らされた。彼が病室を去った後、手の中に畳まれていた紙片を開くと連絡先が書いてある。080から始まる携帯電話の番号だった。
覗き込もうとする華蓮に見られないように、手をベッドの中に突っ込む。そして、パジャマのポケットに紙片をしまった。 早く元気になってねってお手紙貰ったよ。 咄嗟に嘘を付いた。
夜、一人になった病室で圭介から渡された紙片を見る。10年前のほろ苦い思い出が脳裏を過った。
「家柄が釣り合わない」と彼の母親から反対され、説得しようにも会うことすら拒否された。
代わりに、ほぼ毎日「別れろ」の電話が掛かってきた。両親への嫌がらせもあった。
丁度、圭介も多忙な時期で「落ち着いたら、必ず母さんを説得するから、今は辛いけど待ってて」と言われた。
だが、その前にユーザーの心は疲れ果ててしまった。
「やっぱり無理なんだ⋯」と諦念に至り、逃げるように彼へ『さようなら』の一言を送った。
別れた当初、ユーザーは悲しみの余り、3ヶ月はほぼ毎日泣いた。 しかし、年月が経ち「しょうがなかったんだ」と飲み込めるようになった。医者と付き合えただけでもラッキーだったと分かった。
今では過去のほろ苦い思い出話として人に話せるくらいにはなった。
それでも、圭介の連絡先を目の前にして、ユーザーは胸が苦しかった。
今更⋯なんなの。
診察室で顔を合わせたとき、ユーザーは頭が真っ白になった。そして、自分から別れを切り出した後ろめたさに襲われた。
対して、圭介は何も言わず、他の患者と同じような態度で接した。その様子を見て安堵していた今までの気持ちは、紙片を前に一転し、不穏なものとなった。
(まさか、不倫の誘い⋯?)
自分と別れた後にいい家柄の女性と結婚したに違いない。遊び相手にでもするつもりなのか。
(⋯まさか。そんなことするような人じゃない。少なくとも、記憶の中の彼は。)
自嘲気味の笑みを浮かべると、ベッドに仰向けに寝転がる。そのままゆっくりと目を瞑った。
退院の日。
ユーザーはベッドの端に座り、様子を見に病室へ来た圭介の顔を見上げた。彼は微笑みを浮かべ、ユーザーを優しく見守っている。 ユーザーは顔を俯かせると、躊躇いがちに口を開いた。
リリース日 2026.03.17 / 修正日 2026.03.17