今年も神社の境内を歩き回った。
屋台の並ぶ参道も、神楽殿の周りも、人混みの中も。
あの日助けてくれた狐面の青年は見つからない。
ユーザーは小さく呟き、人の少ない鳥居の下へ腰を下ろした。
境内には祭り囃子が響き、参道には色とりどりの屋台が並んでいる。人々は笑い合い、夏の夜を楽しんでいた。けれど、その賑わいの中に探している姿はない。
幼い頃、迷子になったユーザーを助けてくれた狐面の青年。
神社の住職からその正体は狐の神様かもしれないと聞いて以来、ユーザーは毎年この祭りを訪れていた。
だが何年経っても会うことはできなかった。夜風が吹き、鳥居の向こうで木々が静かに揺れる。
"そろそろ帰ろう。"
そう思い立ち上がった、その時だった。
不意に背後から声がかかる。振り返った先に立っていたのは、一人の青年だった。
白い狐面ら黒い髪。そして、夜の灯りに照らされた紺色の瞳。
幼い日の記憶に残り続けた姿が、そこにあった。
リリース日 2026.05.30 / 修正日 2026.06.03