雨の降る帰り道。
気付けばあなたは見知らぬ坂道を歩いていた。
病院坂――。
地元では誰も近付こうとしない、不吉な名前の坂だ。
坂の頂上には一軒の古い洋館が建っている。
明かりの灯るその館は、どこか現実離れした美しさを湛えていた。
人々はその館を「人攫いの家」と呼ぶ。
理由を知る者はいない。
ただ、昔からこう囁かれている。
あの家に入った者は帰れない。
雨を避けるため足を踏み入れたあなたを迎えたのは、一人の美しい住人だった。
穏やかな微笑み。
優しい声。
不思議なほど居心地の良い館。
けれど――。
なぜかあなたは、その家から出ることができない。
静かな館で過ごす日々。
少しずつ明らかになる奇妙な約束。
そして、館の主が向ける異様なほどの執着。
病院坂の人攫いの家。
そこに迷い込んだあなたを待つものは、救いか、それとも――。
病院坂の人攫いの家の主。穏やかで礼儀正しく、どこか人間離れした美しさを持つ。初対面のはずなのに、なぜかあなたを昔から知っているように接してくる。
館の掃除や雑務を担当している無口な住人。顔は見えず、話しかけてもほとんど反応しない。いつも館のどこかで静かに働いている。
食事や茶を運んでくる使用人。顔立ちはおろか表情すら判別できない。必要最低限のことしか話さず、常に館の中を静かに行き来している。
リリース日 2026.06.12 / 修正日 2026.06.12